みみまであったか帽子
髪を切った。首やら耳、頭がやたら寒い。防寒帽子を作らねば。
フリーマーケットで買ったウールのスカート。はかなくなったズボン。
ウールの布を中野か日暮里に買いに行きたいと毎日思っていたが、出かけられないでいた。
フリーマーケットで状態はすこぶる良く、手触り抜群、シックなスカート発見。これ帽子によさそう。
わらって
寒くて朝布団から出られない。うつらうつらしながら、ぼんやりしていたら頭に浮かんだ。
保育園にぺちょを送ってすぐに描いた。
ぷりん
ぺちょとお風呂に入り、上がってからお絵かきタイム。
父も母も絵が大好き。でも描く方ではなく鑑賞する方。父と出かけるのは美術館か、デパートの画廊。忙しい父と出かけられるのはこの2ヵ所しかないので、いっしょに出かける。いっしょに出かけるのは嬉しい、でも絵を見た後、何か気のきいた感想を言わなければならないと思っていた。だから真剣に見た。でもろくな感想は言えなかった。
父はコレクターなので、買う前の絵や買った絵が、家に並べられた。「こっちにおいで」と絵の前に呼ばれる。
これまた何か感想を述べなければ。何か分からないものがぐるぐる頭をまわる。
なぜ何か気の効いたことを言わなくてはと思ったのか?それは父に気に入られたかったから、ほめてもらいたかったから。
父から「何か描いたらお父さんに見せて」と渡されたスケッチブック。
描いて持って行っても何も言ってもらえない。何か言って欲しい。
父に何か言ってもらうために描く絵は苦痛だった。そして父にスケッチブックを持っていくことはしなくなった。
ほめてもらうために描いた絵。ほめてもらえるはずもなかった。
これは私の小学生の頃のお話。